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    波止場か…?船か…?
     

     もう何年も前に無くなってしまったが…僕の住んでいる街の駅のすぐそばに、サウナがあった。古びたビルの1階2階で営業していたそのサウナ風呂は、地元の人達の憩いの場所だった。1階の入り口で料金を払い、更衣室に入ると、鏡の前に並んでいる男性用整髪料の匂いだろうか…甘い香りが漂っていた。

     裸になって浴室に入り、大きな浴槽で手足を伸ばし、サウナに入って汗を流して、今度は水風呂で体を冷やす…!最高の気分だ!これを何度か繰り返すと今度は2階に上がる。

     2階は休憩室になっていて、リクライニングチェアーが並んでいて、そこで横になり、のんびりとテレビを見たり、冷たいものを飲んだり、時にはラーメンを食べたりした。このラーメン、いかにも安っぽい味なのだが…妙に美味かったなあ。

     お金がある時はそこでマッサージを受けたりするのだが、ホント〜に気持ち良かった。それからまた浴室に戻り、今度は体を洗ってウチに帰る…。

     僕がまだ20代の頃だったが、スポーツが大好きで、いつも体を動かしていた僕は、月に最低2回くらい、そのサウナに通っていた。

     どれくらい前の事なのかよく覚えていないが…12月の30日の夕方5時か6時頃の事だったと思う。僕がそのサウナに行き、1通り終えて浴室から更衣室に出て来た時だ。

    「いや〜!!紅白出場!ホントにおめでとう!良かったねえ!今日はもう帰れたの?」

    拍手の音とともにそんな声が聞こえてきた。

    「紅白…って…??

    その言葉に驚いた僕は、その人の方を見た。その人は、ちょっと照れたような顔をしながら、更衣室に入りロッカーの前で服を脱ごうとしているところだった。

    「ありがとうございます…!ホントはもっと会場にいたかったんですけど…リハーサルが終わったら、もう帰っていいって言うから…帰ってきました。」

     どうやら…その人は、この年初めて紅白出場を決めた演歌歌手のK・Jさんだった…のだが…僕はその時、誰だか全く分からなかった…。

     

     2階で1時間くらい休んだ僕は、体を洗うため1階に戻ると、更衣室の奥の方から、K・Jさんと常連さんの、熱く語り合う声が聞こえてきた。

    かなり大きな声で熱く語り合う男2人は、一体何を語り合っているのか…?ちょっと気になった僕は、耳をそばだてて聞いていた。いや…そばだてるまでもなく僕の耳に入り込んで来る、熱い会話の内容…は当時の僕には理解出来ない?内容だった…。

    「オレはね…波止場だと思うんだよね…!」

    「いや〜!俺は船だと思うんですよ…女はやっぱり船ですよ!」

    「若いな…!女は波止場だよ…!だから男は夢中になるんだよ!」

    「そうですか…?船じゃないですかね…?!

    「違うよ!波止場だよ…」

    「船だと思うんですけど…」

    女は波止場か船か???

    50歳前後?と思われる男2人は…どうやら約1時間…このテーマ1本に絞り込み?熱く語り合っていたようなのだ…。

    腰にタオルだけを巻き、湯船に入る事もなく、椅子に向かい合って座った裸の男二人は、女は波止場か船か…と言う事を議論しているのだ…。

    女性は船か…?波止場か…?

    凄いテーマだ…。

    この2人…何とも…演歌…である…。

    その後も…2人の会話はいつまでも続いていた…。

     

    大晦日…テレビで熱唱しているK・Jさんを見ながら、僕もふと考えてしまった…。

    どっちなんだろう…。

     

    その答えは…今でもわからない…。

     

    | だっくす小峰 | あれこれエッセイ | 16:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - |









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